サロンを開業したセラピストにとって、技術や接客はもちろん大切ですが、それ以上に「数字管理」が経営の安定を左右します。
なぜなら、私たちは施術者であると同時に経営者でもあるからです。
この記事では、数字管理の必要性と具体的な実践例をわかりやすく解説します。
サロンを長く続けるためには、感覚ではなく「数字」で現状を把握し、戦略的に行動することが不可欠です。
施術でお客様を癒す一方で、経営者として売上・経費・利益を管理しなければ、赤字や資金ショートに陥るリスクがあります。
数字管理を身につけることは、サロンを守り、成長させるための“経営者としての責任”であり、安定経営への第一歩です。
なぜ数字管理が必要なのか?

数字を管理することで、次のようなメリットがあります。
- 売上・経費・利益が明確になる → どこに力を入れるべきか判断できる
- 赤字や資金ショートを防げる → 数か月先の見通しを立てやすい
- 集客やリピートの改善点が見える → 感覚ではなく根拠をもって行動できる
- 外部からの信頼を得られる → 銀行融資や助成金の審査にも役立つ
数字を見れば、「努力がどこに実っているのか」を客観的に把握できるのです。
数字管理で押さえるべきポイント

売上管理
月次売上・来店数・客単価をグラフ化すれば、繁忙期や閑散期のパターンが一目で分かる。
経費管理
家賃・材料費・広告費などをExcelや会計アプリで集計。無駄を減らせば利益率が上がる。
予約率・リピート率の管理
「次回予約率」や「再来店率」を追えば、技術だけでなく接客や提案力の改善点が見えてくる。
利益シミュレーション
新メニューを導入する前に「◯人来れば黒字」「◯人以下なら赤字」とシミュレーションすれば、無理のない施策判断が可能になる。

どのように計算すればいいかわからない
人を雇うかもしれないし…

スタッフの人数によって
黒字のボーダーラインも変わってくるよね
詳しい具体例を出していくね!
一人サロンとスタッフ雇用で変わる数字管理

自分ひとりで施術する場合
- 売上の上限が自分の体力に依存
1日◯人×単価=月商の上限が見える。 - 経費は比較的少なめ
家賃・材料費・広告費が中心で、人件費はゼロ。 - 数字管理のポイント
「客単価」と「リピート率」が生命線。施術数を増やすだけでは限界があるため、単価アップや次回予約の仕組みが重要。
👉1人スタッフの場合は経費が少なくなる分、売り上げの上限が自分の体力になってしまうのがポイント
スタッフを雇う場合
- 売上の上限が広がる
施術人数が増えるため、自分ひとりでは届かない売上を目指せる。 - 経費は大きく増える
人件費・社会保険料・教育コストなどが固定費に加わる。 - 数字管理のポイント
「人件費率」と「稼働率」を必ず管理。売上が伸びても人件費が重く赤字になっては意味がない。
👉スタッフが何人もいる場合は人件費が高くなりますが、売り上げの伸び代は高いのがポイント
黒字と赤字の分岐点を知る

数字管理で最も重要なのは、黒字と赤字の境目=損益分岐点を把握することです。
計算の基本式
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
- 固定費:家賃・光熱費・人件費など毎月かかるもの
- 変動費:施術ごとに発生する材料費や広告費など
具体例(1人サロンの場合)
- 固定費:家賃6万円+光熱費2万円=8万円
- 変動費:施術あたり材料費1,000円
- 単価:6,000円
👉 粗利=5,000円
👉 8万円 ÷ 5,000円 = 16人
→ 月16人以上施術すれば黒字、15人以下なら赤字。
具体例(スタッフを雇う場合)
- 固定費:家賃6万円+光熱費2万円+人件費15万円=23万円
- 単価:6,000円
- 粗利:5,000円
👉 23万円 ÷ 5,000円 = 46人
→ 月46人以上施術が必要。
💡 損益分岐点を知れば、必要な集客人数・単価・リピート率が明確になり、戦略を立てやすくなります。

開業する前に自分のお店の規模を考えて
経費をしっかり計算してどのくらいの人数やれば黒字になるか
考えればいいんだね!

そうだね!
黒字のボーダーラインを知ること
そしてその先の自分の生活を豊かにする利益を生み出せるか

そっか!
黒字にするだけじゃ生活できないもんね
黒字化の先に「望む利益」を設定する

黒字になったからといって、必ずしも安心できるわけではありません。
なぜなら、黒字はあくまで最低限「赤字を避ける」ラインに過ぎないからです。
経営で本当に大切なのは、
- 損益分岐点を超えて黒字にすること
- その上で、自分が望む利益ラインを達成すること
の両方です。
具体例
- 損益分岐点:月商30万円(赤字を回避できるライン)
- 自分の生活費+貯蓄+将来投資:月60万円必要
👉 この場合、30万円で黒字になっても、目標とする60万円には届かない。
「欲しい利益」から逆算して、必要な売上・客単価・来店数を計算することが、経営者としての次のステップです。
まとめ

開業するとは「施術者」と「経営者」という二つの顔を持っています。
お客様を癒す技術と同じくらい、数字を管理するスキルは重要です。
特に「損益分岐点」を意識することで赤字を防ぎ、さらに「望む利益」を設定することで、理想のライフスタイルや将来の目標を実現できます。
数字を味方につければ、感覚頼りの経営から脱却し、根拠ある戦略を立てられるようになります。
その結果、サロンは安定し、自分自身の夢の実現にも一歩近づくでしょう。
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